2.5次元の世界とジャニーズ
以下、2014,9,28 オリコンスタイル 配信
2次元で描かれた漫画・アニメ・ゲームなどの世界を、舞台コンテンツとしてショー化した「2.5次元ミュージカル」。右肩上がりに公演数・動員数を伸ばし、国内ではすでに固有のジャンルとして定着。新しいマーケットとして注目されている。
■2次元コンテンツを原作に新たなマーケットを確立
15年3月中旬より、東京・渋谷のアイアシアタートーキョーが「2.5次元ミュージカル」の専用劇場として1年間、さまざまなプログラムを連日上演することが発表された。
国内外から数多くの観光客が訪れる渋谷の街に常設劇場がオープンするとあって、今後さらなる注目を集めるであろう「2.5次元ミュージカル」という用語。これは、漫画やアニメなどの2次元の世界を原作とした舞台コンテンツを総称したもので、宝塚歌劇団による『ベルサイユのばら』の初演が74年だったことを鑑みると、その歴史は長い。
しかしその文化が、現在に繋がる礎を築いたのは90年代のこと。93年初演の「ミュージカル『美少女戦士セーラームーン』」(以下『セラミュー』)が大ヒットすると、その後は続々と漫画・アニメ原作のミュージカルが制作。なかでも03年初演の「ミュージカル『テニスの王子様』」(以下『テニミュ』)の人気は凄まじく、「2.5次元ミュージカル」ブームの火付け役となった。
漫画・アニメを切り口としたことで、“ミュージカル=敷居が高い”というイメージを払拭し、一般層の呼び込みに成功したことは、演劇界への大きな功績となった。またミュージカルナンバーのCDなど、関連グッズも大きなビジネスとなっている。
①2.5次元ミュージカルの需要
漫画を原作としたミュージカルが国内で一大ムーブメントを起こし、近年のミュージカル人気に火をつけたという記事内容だが、この漫画原作のミュージカルの総称を『2.5次元ミュージカル』という。
「美少女戦士セーラームーン」が火付け役となり、次第に「テニスの王子様」など少年漫画界もこのミュージカル市場とタッグを組み新たな市場開拓に乗り出ている。
このミュージカル人気は高く、近年の公演本数と販売数は加速的に伸びている。
参考にここにオリコンスタイルの記事を貼っておく。
http://oricon.co.jp/news/2042631/full
では、2.5次元とは何なのか。
②2.5次元とは
2.5次元とは、イラスト・アニメ風二次元の世界と実際の人間・実写による3次元の世界の、何らかの狭間を指す単語である。2.5次元とは、2次元的なイメージの3次元への投影か、またはイメージ自体の錯覚的・部分的な3次元化に適用される。
~ニコニコ大百科~
基本的にこの2.5次元の世界に適用される実在の人物は声優であり、定義は二次元の仕事を請け負う三次元の人という分類らしい。しかし、近年は意味が拡大解釈され、二次元作品を実写化・映像化した際の俳優や実写化したものにも転用されてきた。
③2.5次元とジャニーズ
しかし、この2次元を舞台化する取り組み以前に、この2次元を原作としたドラマや映画に所属タレントを多数出演させることで、タレントの知名度とカテゴライズ化されたイメージをタレント自身に投影させることで、より多くのファン層を獲得してきた芸能事務所がある。
それが、ジャニーズ事務所である。
2次元をドラマ化するということは1960年代より行われていることだが、ジャニーズ事務所が本格的に台頭してきた1980年代から、日本のショービジネス界における重鎮として、あらゆるジャンルに所属タレントを送り込むようになったのが、SMAP以降だと筆者は考えている。
では、なぜ、SMAP以降、そういった戦略がとられていくようになったのか。
それは完璧なアイドル像は長年、アイドルを続けていくとなると脆くも崩れ去りグループの寿命を縮めるということに由来しているのだと思う。自分自身にカテゴライズ化されたキャラを投影しつつ自身の特性を織り交ぜ「嘘がない親しみが湧くアイドル像」を作り上げることに成功し、ジャニーズ所属アイドルたちは一層、二次元との親和性を手に入れた。
多くのコンテンツの寿命は決して長くはなく、アイドルとは、当時はそこから俳優や歌手へ分化していく若手を指し示す言葉であり概念だったように考える。
その兆候に変革のメスが入り、現在は成熟した男性も「アイドル」と名乗れるようになった。
それは2次元のキャラを投影させることで、ファン層を増やし自らが3次元の存在でありながら、まるで2次元の存在であるかのように振る舞う。
2.5次元の先駆けこそがジャニーズアイドルなのではないだろうか。
ここで、SMAPからV6(Ⅴ6の認識ではキンキのほうが先輩とのことなのでデビュー順ではない)まで、原作コンテンツがある作品をグループごとに列挙した表を作成してみた。グループから原作コンテンツがあるドラマ・映画の出演数が多い人物を2~3人抽出。
この下記の表を見る限り、いかに2次元に彼らのイメージが投影され、また、そこから彼ら自身も演じたキャラのイメージを自身のアイドル・俳優イメージに転化しているかがわかる。
また以外にも、2.5次元作品の帝王と思われた岡田准一は最近まではドラマオリジナル作品に出演していることが多く、長瀬智也は宮藤官九郎作品の寵児ではあるが、二次元作品の出演本数は多くない。あくまでも一部であるので、割愛したものもあるが作品と彼らのイメージを照らし合わせると興味深いものが見えてくるかもしれない。
次回は沼の入り口話を挟んで、この話の続きをしていきたい。
SMAP、TOKIO、kinkikids 、 V6の小説・マンガ原作出演作品(一部)
SMAP | 原作作品 | 原作者 | 作画 | 放映期間 | 放映局 | 掲載誌 |
中居正広 | (漫)味いちもんめ | あべ善太 | 倉田よしみ | 95年,96年,98年,2011 | テレビ朝日系 | ビッグコミック系 |
(漫)ナニワ金融道 | 青木雄二 | 〃 | 1996年~単発ドラマ | フジテレビ系 | モーニング | |
(小)砂の器 | 松本清張 | 2004,1,18~2004,3,28 | TBS系 | 読売夕刊、光文社 | ||
木村拓哉 | (小)華麗なる一族 | 山崎豊子 | 2007,1,14~2007,3,18 | TBS系 | 週刊新潮、新潮社 | |
(漫)アイ'ムホーム | 石坂啓 | 〃 | 2015,4,16~2015,6,18 | テレビ朝日系 | ビッグコミック系 | |
香取慎吾 | (小)蘇る金狼 | 大藪春彦 | 1999,4,17~1999,6,26 | 日本テレビ系 | 角川文庫 | |
(漫)こちら葛飾区亀有交番前派出所 | 秋本治 | 〃 | 2009,8,1~2009,9,26 | フジテレビ系 | 週刊少年ジャンプ | |
(漫)忍者ハットリくん※1 | 藤子不二雄 | 〃 | 映画2004,8,28公開 | 配給;東宝 | 週刊少年ジャンプ | |
TOKIO | 原作作品 | 原作者 | 作画 | 放映期間 | 放映局 | 掲載誌 |
松岡昌弘 | (漫)サイコメトラーEIJI | 安藤夕馬 | 朝基まさし | 97年,99年,2000年 | 日本テレビ系 | 週刊少年マガジン |
(漫)新・美味しんぼ | 雁屋哲 | 花咲アキラ | 2007年、単発ドラマ | 日本テレビ系 | ビッグコミック系 | |
(漫)ヤスコとケンジ | アルコ | 〃 | 2008,7,12~2008,9,20 | 日本テレビ系 | 別冊マーガレット | |
長瀬智也 | (小)池袋ウエストゲートパーク | 石田衣良 | 2000,4,14~2000,6,23 | TBS系 | 文春文庫 | |
(漫)フラジャイル | 草水敏 | 恵三朗 | 2016,1,13より放映中 | フジテレビ系 | 月刊アフタヌーン | |
kinnkikids | 原作作品 | 原作者 | 作画 | 放映期間 | 放映局 | 掲載誌 |
堂本光一 | (漫)超頭脳シルバーウルフ※2 | 金成陽三郎 | 越智辺昌義 | 1996,1,13~1996,3,16 | 日本テレビ系 | マガジンSPECIAL |
(漫)P,S,元気です、俊平 | 柴門ふみ | 〃 | 1999,6,24~1999,9,16 | 週刊ヤングマガジン | ||
堂本剛 | (漫)金田一少年の事件簿 | 天樹征丸、 | さとうふみや | 1995,7,15~1995,9,16 | 日本テレビ系 | 週刊少年サンデ- |
金成陽三郎 | 1996,7,13~1995,9,14 | |||||
V6 | 原作作品 | 原作者 | 作画 | 放映期間 | 放映局 | 掲載誌 |
森田剛 | (漫)月下の棋士 | 能條純一 | 〃 | 2000,1,17~2000,3,13 | テレビ朝日系 | ビッグコミック系 |
(漫)喰いタン | 寺沢大介 | 〃 | 2007,4,14~2007,6,23 | 日本テレビ系 | 月刊イブニング | |
(漫)ヒメアノ~ル | 古谷実 | 〃 | 映画2016,5,28公開 | 配給;日活 | 週刊ヤングマガジン | |
三宅健 | (漫)名探偵保健室のオバさん | 宮脇明子 | 〃 | 1997,1,6~1997,3,10 | テレビ朝日系 | マーガレット |
(小)ネバーランド | 恩田陸 | 2001,7,6~2001,9,14 | TBS系 | 集英社文庫 | ||
(小)親指さがし | 山田悠介 | 映画2006,8,26公開 | 配給:ザナドゥー | 幻冬舎文庫 | ||
岡田准一 | (小)蜩ノ記 | 葉室麟 | 映画2014,10,4公開 | 配給;東宝 | 祥伝社 | |
(小)永遠の0 | 百田尚樹 | 映画2013,12,21公開 | 配給;東宝 | 太田出版 | ||
(小)図書館戦争 | 有川浩 | 徒花スクモ | 映画2013,4,27公開 | 配給;東宝 | 角川文庫 | |
映画2015,10,10公開 | 配給;東宝 | 角川文庫 | ||||
(小)エヴェレスト~神々の山嶺~ | 夢枕獏 | 映画2016,3,12公開 | 配給;東宝 | 角川文庫 | ||
(小)海賊とよばれた男 | 百田尚樹 | 映画2016年冬公開 | 配給;東宝 | 講談社 | ||
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※1「NIN×NIN忍者ハットリくんTHE MOVIE』の原作 ※2「銀狼怪奇ファイル」の原作 |
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